高齢者住宅に必要な要素とは

現在の「日本」は重大な問題を抱えています。それは「今すぐにどうにかなる」というレベルの問題ではなく、さらに「このあとすぐに結果がわかる」というもことでもありません。その「問題」とは「少子高齢化」という事実です。意味は「子どもが少なくなり、高齢者だけが増えていく」というものです。

私たちの国は「福祉」のレベルが「十分」とはいえないまでも高レベルにあります。福祉の基本は「保険として全世代から費用を徴収し、必要な人に専門的で高度な医療などのサービスを回す」ということでおおむね間違いないでしょう。私たち皆が「保険料」を払っていますが、その実毎月医療保険が必要なサービスを受けているわけではないということです。私たちの納めている医療保険は、その大半が自分のためではなく、国家全体の医療体制を維持するために使われているのです。その代わり、私たちが体調を崩した時には全体として整えられた医療体制を存分に活用し、治療してもらうことができるのです。それが「福祉」の考え方です。全体として体制を整え、必要な人が使えるということです。

高齢化社会は、この「福祉」にまず打撃をあたえます。今までは働ける人の数と仕事をリタイアした高齢者の数のバランスがとれていたのです。働き盛りの壮年の人々が社会を支え、ずっと頑張ってきた高齢者も支えてくれました。ですが、このままでは労働力として活躍できる若い世代よりも「高齢者」の方が多くなってしまう可能性が高いのです。そうなると、現代の福祉の仕組みは一気に瓦解します。「支える」という概念がなくなった瞬間に、医療費などの帳尻が合わなくなるのです。

「高齢者住宅」とは、そのような社会的背景のある「住宅」です。「高齢者」とは、いわゆる社会での役割を満了した方々です。その中でも特に「通常の生活」を送ることが困難な方、ということになります。それは誰もが進むべき道であり、誰もがたどり着く人としての晩期でもあります。それも、これから先はそのような人の方が国民の中で占める割合が多くなるといわれているのです。少ない労働力で、多くの高齢者を支えていく必要があるわけです。それは、皮肉なことに私たちの「医療」が発達した結果、私たちの「寿命」が延びたということでもあります。そのようなさまざまな要素が関連した総合的な問題として、「少子高齢化」という事実があるわけです。

そのような「社会」の中で、どのようにして高齢者は暮らしていくべきなのか、どのようにして「社会」として高齢者の方々に不便な思いをさせないようにするのか、ということが問われています。高齢者住宅に求められていることとは、そのような複合的な問題の中で「生活のインフラ」としてどのようにあるべきかを問われているということです。現代社会で働いている私たちも、ゆくゆくは「引退」します。そのときに、私たちを支える労働力は今よりも半減しているかもしれません。「誰にも頼らない」という選択肢しか残っていないかもしれません。ですが、「肉体の衰え」は必ずやってきます。その事実をどう受け止めて、どのように暮らしていくのかということが、「高齢者受託」の在り方にも反映されるのです。

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